＊親指のあいた手袋

数日前に手袋をなくしてから、新しい手袋を買わないでいた。
「ニューヨークの冬も、もう数ヶ月で乗り切れる」
そう思って、手袋なしで冬を乗り切ろうと決心していたところだった。

その日はとても寒い夜だった。
仕事が終わって、6 avenueを南下しながらお気に入りのカフェに向かっていた。深夜４時まで営業している落ち着いた雰囲気のカフェだ。そこに向かう道中、急に風が吹き付けてきた。あまりの寒さに私の決心は揺らいできた。

手袋なしでは冬は乗り切れない・・・・。

私はその足でUrban Outfittersに逃げ込み、手袋を買った。
買わざるを得ない寒さだった。
安物ではあるが、ニットの手袋。つけ心地は悪くない。
早速手袋をつけて外に出ると、さっきまでかじかんでいた手に温もりを感じた。
ニューヨークの冬には、ニューヨークの冬に適した装備が必要なのだ。

・・・・・・

４日後、その手袋の親指に穴が空いた。
安物め。

--Hoodie